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中国の城を擬人化してみる

  • 2013/07/07(日) 21:50:13

このところ艦隊これくしょんという艦船の擬人化が流行してるのだそうで、流れに乗って中国の城の擬人化なんてのをTwitterでつぶやいておりました。

北京城はきっとフリフリドレスのお姉さんで南京城はガード固めの暗器使い。成都はファンネルみたいなのがぐるぐる回ってる感じ?

清代の北京城は当然ながら紫禁城があって周りは宮城・皇城・郭城が取り囲んでいる城です。その最大の特徴は従来の長方形の城郭の南側に「呂」の字を上から押しつぶしたような形で新たな城郭がつくられています。
北京城図
見ようによっては膨らんだスカートのようにも見えると思うんですが、いかがでしょう?
あくまでも万里の長城に守ってもらうことが前提なので、城そのものの防御力はそれほど高くない気がします。

一方、清代の南京城の特徴は圧倒的な防御力で、幅150mの濠の先に高さ20mの城壁がそびえ立っているというとんでもない城です。
それだけでなく城門にも秘密がありまして、城門の中に兵士が隠れていられる空間が用意されています。思いがけない所から武器が出てくる暗器使いにぴったりじゃないでしょうか?

三国・蜀の成都は宮城がある本体の城を3つの支城が取り囲んでいます。
本体の城を拡大せずに支城を築いた経緯はよく分かりませんが、本体の周りでぐるぐる回って敵の攻撃を無効化するような何かにも見えてきます。


南京になる前の建業/建康はふにゃーんとした掴み所の無い愛されキャラ。襄陽は誰かと仲良くするのが苦手ちゃんてとこ?

三国・呉の建業は後の南京とはうって変わって防御力が皆無の城です。なにしろ郭城というものが無く、ただ垣根で囲われただけのもので城の形がどんなものだったのかすら確たることは分かっていません。
ただ、川や山の地形を最大限に活かした作りになっており、また石頭城を初めとした広域の防衛線の支援はなかなか強力です。晋の攻勢であっさり陥落したように見えますが、防衛線の崩壊が無ければそこそこ持ちこたえられたんじゃないでしょうか?

襄陽は目の前の漢水を自然の濠にしていて濠の幅は平均して200m近くもあり、とにかく城まで近づくのが難しい城です。
そのくせ肥沃な荊州の要地ですので何度も攻撃に晒されており、擬人化するなら人見知りな感じじゃないでしょうか?
付け加えるなら襄陽の対岸には樊城があり、補完関係にありました。しかしあくまでも主役は襄陽であり、それを快く思わない樊城ちゃん、というキャラ付けも面白いかもしれません。
※現在の中国ではそのあたりの地域が襄樊市となっていたんですが、2010年に襄陽市に改名されました。樊城ちゃんの嫉妬はまだまだ続きそうです。



さらに思いついたところだと、唐の長安城は間違いなく男の子だと思います。
日本の平城京・平安京のモデルになった城なのでよくご存じの方が多いかと思いますが、実は城の中軸に位置する南玄関の明徳門の前の護城濠からあるものが見つかったのです。
それは唐の頃に据えられたとされる首をもたげた亀の像でした。

城の正面の土の中に亀。


……お後がよろしいようで。

(さんがつ)

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スマートフォンの効能

  • 2012/01/17(火) 20:23:34

昨年、携帯電話をスマートフォンに切り替えて中国でもGPS使えるし便利だなぁと思ってたんですが、スマートフォンならアプリ次第でもっと便利にできたんですね。

というわけでご紹介。
まず簡体字の入力に捜狗輸入法。輸入法ってなんぞや?と思われるかもしれませんが、要するにIMEです。
手書き入力(手写)にも対応してますので、ピンインが分からなくても大丈夫。
ダウンロードして、入力画面を長押しすれば入力方法というメニューが出ますので、そこで日本語/中国語の切り替えができます。

もう一つがNAVERの中国語辞書。小学館の『ポケットプログレッシブ中日・日中辞典』が収録されているらしく、日常的な単語を調べるには充分過ぎる代物。しかも発音を聞ける!
本を読みながら気になる単語を調べて音で聞けば覚えやすくて良いんじゃないでしょうか?
しかも無料!いいんでしょうか?

さらに中国語を浴びてみたい方にはTuneInもおすすめです。
これは世界中のラジオを聞けるアプリで、地域別からアジア→中国と入っていくと省ごとのラジオを選べます。
中国語に疲れたらインドのラジオを聞いてみると癒されます。

他にも映画を見られるサービスなんかもあるようですが、これ著作権とかどうなんでしょう…
おっかないんで手を出さない方がいいんでしょうね。

(さんがつ)

北京の図書節

  • 2011/09/22(木) 19:53:23

この連休で再び北京に行ってきました。
観光もあるんですが、一番の目的は前回不完全燃焼に終わった図書市。これは北京の地壇公園に本屋・古書店が軒を並べる大規模なお祭りです。
皇帝が祭祀を行った祭壇にステージを設けて歌謡ショーをするのはどうかと思いますが…

図書節

日本の本屋をイメージすると、本屋が集まって何かメリットがあるの?と思われるかもしれません。
しかし、中国は中華書局や商務印書館、三聯書店といった出版社が自前の書店を構えており、図書市だと置いてる本は全部半額!なんてことになっています。しかも日本のワゴンセールと違ってかなり良い本も平気で叩き売ります。
特に史書の類はセット売りで何社も競合してますのでかなり安くなります。

店舗

そして新刊以上に古書店はとんでもないことになってます。
基本は本を手に店主にいくら?と聞くと適当な金額を答えてきます。高いよ!というと安くなります。これは骨董市なんかと同じですね。
しかし値決めが適当です。200元なら買おうと思って聞いた万暦会計録の影印本が80元で買えたりしました。
気がつけば約20冊、10kg近くになり、持ち運びも厳しくなったので打ち止めです。それでも400元、5000円なんですね。円高万歳!
あと20冊くらい買いたかったんですが…

ちなみに古書店には中国で誰が買うんだろう?というような本も並んでました。

こんなのとか
千葉

こんなの
レディコミ

(さんがつ)

中国行ってました

  • 2011/02/17(木) 00:44:41

本物の春節を味わうべく、連休を使って中国に行ってきました。一言で言えば雪!寒い!でしたがそれは措くとして。
※渤海が凍ってました。ロシアが旅順を押さえたかった理由がよくわかった気がします。

今回は北京経由で重慶でしたが、さすがに中央から遠いためか、爆竹は鳴るは花火は上がるはで、春節スタートの4日はいかばかりだったかという感じ。テレビでは盛んに市街地で爆竹鳴らすな、花火上げるなと言ってるんですが。
私も爆竹の着火をやらせてもらいましたが、あれ導火線が短すぎるよ!点けたら逃げろと言われても無理です。

で、肝心の本ですが、あまり買い回る時間が取れませんでした。
買えたのは
・対聯関係3冊
中国の家の玄関に掛けてある一対のスローガンみたいなあれです。
面白そうだったのでついついまとめ買い。
・清朝の建築の資料本
図面がしっかりした本があったので買ってみました。
そのうち楽史舎で本にできるといいなぁ。
・曹操の墓が見つかった!騒動のまとめ
真偽が定かでない曹操の墓ですが、その論争の経緯と主張をまとめた本です。
著者は中立的な立場から双方の主張をまとめたと言ってますが、どちらかといえば本物説寄り?
ある程度読めたらブログでまとめるかも。

そして今回の一番の掘り出し物がこれ。
巻宗

文房具屋で見つけたんですが、肉厚の「巻宗」の文字がたまりません。もしかして活字?と思わせる古くささもまさにツボ。
で、巻宗とは何かといえば、要するにファイルのことなんですね。ここまでファイルであることをアピールしたファイルは見たことがありません。
経理伝票などと一緒に置いてあったので実用品なのは間違いないんですが、本当に使っているのか不思議な逸品です。

ちなみに、帰りの飛行機は重慶から太原まで北上して北京に向かうコースでした。
あいにく四川は雲の中でしたが、雲海から顔を出す秦嶺山脈の険阻さを実感。おそらく北伐に従軍した兵士たちも五丈原に着いたときには正直ほっとしたんじゃないでしょうか?
(さんがつ)

北京に行ってました

  • 2010/09/28(火) 21:54:14

このところ尖閣諸島の問題できな臭くなっている日中関係ですが、そんな中で北京に行ってきました。
実のところ北京は初めてで、政治的な中心地だしどうだろう?という不安もありましたが行ってみるとなんてことは無い平常運転でした。

行ってみての感想を言うと、北京というのは東京に似ている気がします。
城が中心にあって、古くからの都でもあるため城の周りにも見るべき歴史遺産が点在しています。
※広いだけあって「点在」の距離が半端無いわけですが…
王府井や西単のようなショッピングゾーンにはほとんど寄り付きもせず故宮、天壇、地壇、城壁、渾天儀、本、本、本!!!と回っていたので浅草だけを見て東京を語るようなものだろうということは自覚しているつもりですが、なんとなく地味な印象はありますね。本屋にしても上海の方が充実していた気がします。

ただ、それでも北京は中国史好きなら一度見ておくべき地だろうと思います。
故宮に行けば中国の王宮がどんなものだったのかということが一目瞭然に分かります。
たとえ時代が違ったとしてもスケールや威圧感、路地の雰囲気といったものは感じられるんじゃないでしょうか?

それともう一つ、北京には城壁が残っています。
皇城(中央政府が入るエリア)を囲む城壁に登ってみましたが、やはり映画で見たというのと実際に見たのでは城壁の厚みの印象がまったく違っていました。
今回、あえて城壁が上から見えるホテルに泊まったので未整備の城壁なども見られて感慨ひとしおです。

故宮について予習・復習するなら趙広超の『大紫禁城』はお勧めです。※故宮の売店でも売ってます。
香港で見つけて一目惚れした本ですが、この本を読んでから行ったおかげでちょっと違う故宮の見方ができた気がします。
日本語の本がいい!ということであれば故宮の本では無いですが、妹尾達彦の『長安の都市計画』もお勧めです。中国の都城がどんなものなのかイメージできると思います。

おまけ
地壇に行ってみたらイベントが開かれていて、壇の上にステージが組まれていました…
そのイベントが秋の図書節だったので、予定外に半日を費やすことになりましたが。
品揃えはかなり偏ってますが、新品が定価の半額以下で買えるのでおすすめです。

本を買うなら香港

  • 2010/01/02(土) 08:56:54

楽史舎のブログまで見に来るようなマニアックな方なら中国の本を買いたいと思う方も多いと思います。
日本にも神田の東方書店をはじめ、いくつも専門書店がありますが、やはりせっかく買うなら中国で買ってみたいもの。

そこでお勧めなのが香港です。
ご存知のとおり、中国本土の文字は簡略化された簡体字になっていて、もはや元の字とは似てもにつかぬものもあり(機⇒机とか)、これを読むのは慣れないと大変です。
どうせ読むなら日本と同じ繁体字で読みたいもの。そうすると候補は2つ。香港か台湾となります。
それぞれに良さがあり、香港は長らくイギリス領だったのであちこちに英語で案内が書かれており、英語さえ使えれば会話に困りません。
一方、台湾には日本の植民地だった名残か、あるいは日本のバブルの名残か日本語が分かる人が多いです。

ではなぜ香港を勧めるのか?といえば中華書局があるのです。
中国の正史はもちろん、史学に関するさまざまな本を出版している出版社であると同時に、人文系がやたらと充実した本屋さんでもあります。
フロアを埋め尽くす日本ではまず見かけないマニアックな本の数々はまさに圧巻。3時間は遊べます。

そして、香港の隣には深センがあります。
中華書局はすばらしい本屋なのですが、香港の本はやや高いです。※日本と比べればはるかに安いのですが。
これが電車一本で本土側の深センに入ると驚きの安さに!
当然、文字は簡体字になりますが、値段は香港の半額以下なので図録のような読むより眺める本を買うなら断然お勧めです。
※深センでも香港の本は売っていますが、こちらは香港の相場そのままです。
※深センには深セン書城というとんでもなく大きな本屋もありますが、
 入り口で荷物を預けないといけないので、若干ハードルが高いかもしれません。

ちなみに上海なら行くけど…という方は、メインストリートの南京東路から3本南側の福州路を歩いてみましょう。
上海最大の上海書城をはじめ、人文書専門の古籍書店など、2時間は遊べます。
中国の憲法と刑法典はなんと7元(100円程度)でした。

(さんがつ)