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東洋法制史というカテゴリ

  • 2010/01/11(月) 13:53:46

大学時代、私は法学部に在籍していました。
もともと三国志にベタはまりした高校生活で、大学に入ったら絶対に歴史科に進むんだ!と強い決意でいたわけですが、恩師に全力で説得されたこともあり法学部に宗旨替えしたのでした。

ただ、もともと歴史に未練たらたらで来ているので民法やら訴訟法には何の興味も無く、まったく身が入らない生活。ゼミを選択する時点でもどれもピンと来ない中で輝きを放っていたのが東洋法制史のゼミでした。

東洋法制史というのは法学部の中でも異色の存在です。
東洋の法律、つまり律令について研究するカテゴリなのですが、
まず第一に、現代の法律は西洋からの輸入品なので、現代法と何もリンクしていません。
西洋法制史であれば現代法の思想背景を探る、格好よく言えば法哲学というテーマになるのですが、律令を知ったところで現代法の理解には何の役にも立ちません。

第二に、現代法の知識をほとんど要求されません。
現代法とリンクしていないので当然といえば当然ですが、ゼミでレポートを書くにしても、法律の知識は最低限の原理原則さえ押さえていれば何とかなってしまう分野です。
これはゼミに入ってから気づいた意外な点だったのですが、私のような法学の落伍者にとってはありがたい点でもありました。
※本格的に研究すれば法律知識は要求されますので誤解なきよう

第三に要求されるスキルが古文・漢文の読解力であるということ。
先に書いたとおり、私の高校時代は三国志を読むことに費やされており、当然のことながら漢文に触れる機会は他のゼミ生より圧倒的に多かったはずです。
これはゼミの中で圧倒的なアドバンテージでした。古文・漢文が読めないと考える入口に立てないのですから当然です。

第四にほとんど手垢がついていない分野です。
とにかく研究者が少ないのです。押さえておくべき先人を数え上げればおそらく両手で足りるでしょう。
史学で三国志を研究対象にすると研究するテーマが残っていないというのは有名な話ですが、東洋法制史に関して言えばそのような心配はまったく無用、思いつくままに調べてみれば新しいテーマの出来上がりです。

大学によっては東洋法制史という講座自体が無かったり、史学系の研究者が頑張っていたりするニッチな分野ですが、頑張れば第一人者になるチャンスが残っている分野ですのでテーマに困っている研究者の方などいかがでしょう?
※仕事は無いかもしれませんが…

(さんがつ)

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