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夏コミの新刊

  • 2016/08/09(火) 20:34:00

ようやく夏コミの新刊を脱稿しました!

新刊は『よくわかる九章算術 ー孔明は二次方程式を解けたのか?ー』というタイトルで、中国の後漢期によく使われた数学の教科書『九章算術』をまとめた本になります。

正直なところ、『九章算術』の翻訳は科学の名著に収録された川原秀城訳があり、また大阪産業大学を中心に決定版とも言える翻訳プロジェクトが動いている状況です。
本書ではこれらのものを噛み砕いてより平易な表現で書いてみました。
おそらく、こんなことまで知っていたのか!と驚いていただけるのではないかと思います。

また、『九章算術』は永く中国歴代王朝でも数学の教科書であり続けましたし、日本でも使われました。
『真田丸』で大谷吉継が算木を扱うシーンがありましたが、おそらく彼も『九章算術』を読んでいたはずです。
このように三国志に限らず、東洋史であれば広くカバーできる内容ですので興味のある方はお立ち寄りください。

ちなみに既刊もコミケに持って行きますので、よろしければついでにご覧ください。

<土木>
・中国式城郭をつくろう
・中国式城門をつくろう
<天文>
・宙の世界(中国の星図)
・二十八宿占
・雲気占
・献帝の見た日食
<律令>
・科挙対策律令
<その他>
・蹴鞠 The Guide of KEMARI
・写経本後漢書皇甫嵩伝

詳細は楽史舎ホームページをご覧ください。

では、14日(日)は東ヒ-28b 楽史舎でお会いしましょう。

(さんがつ)

コミケ4日目に参加します!

  • 2016/03/07(月) 21:53:58

まだ夏コミまで5ヶ月あるのに何言ってんだって話ですが。

先日のサンクリでご縁ができまして、COMIC ZINさんで中国式城郭をつくろう』『中国式城門をつくろう』を扱ってもらえることになりました。 ※本のタイトルをクリックするとサイトに飛びます。
いきなりあれやこれやと委託するのもなんだかなーということで、まずはこの2冊です。『科挙対策律令』とか『献帝の見た日食』などは東方書店さんのみの取扱いですのでご注意ください。

何はともあれ夏コミの当選を祈るしかない時期ですが、新刊の製作は下調べが折り返し地点を過ぎたあたりになってきました。いまのところ順調に進んでいますので、ご期待ください。

(さんがつ)

真田丸から見た日食

  • 2016/01/14(木) 21:40:55

いよいよ始まった大河ドラマ「真田丸」ですが、もともと信長の野望は武田家で始める者、かつ映画「清洲会議」にはまった者としては見逃せません。初回もいろいろネタが仕込まれていて、これからも楽しめそうです。

さて、冬コミの新刊として三国志にまつわる日食を調べてみたのですが、「真田丸」に絡めたネタがないものかと戦国時代にまつわる日食も調べてみました。
すると1615年3月19日に下図のようなかなり激しい日食が起きていました。この時といえば大坂冬の陣が終わり、夏の陣(新暦では5月23日から)に向けて真田丸の廃却や掘りの埋め立てが行われていた頃でしょうか。
大坂城からどう見えたかというと、16時45分から徐々に日食が始まり、17時52分には太陽の約9割が隠れてしまいます。そして18時15分に約6割が隠れたまま太陽が沈んでいきます。
ちなみに新潟や会津若松では金環日食が見られたはずです。

おそらく大阪城内でも次こそは!と戦意を高めていたのではないかと思いますが、はたしてこの日食を秀頼公や豊臣恩顧の武将たちはどのような思いで見ていたのでしょうか?

1615年日食clip
※日食の演算には竹迫忍氏のEmapwinを使用しています。

新年のご挨拶と通販のお知らせ

  • 2016/01/09(土) 21:40:15

すっかりご無沙汰しておりますが、まずは明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

当ブログでは2015年が無かったかのようになってますがいろいろありまして、何より東方書店様に同人誌を置いていただけることになりました。
これは一昨年の冬コミで同人誌をお買い求めいただいた方(香港漫画店さん)から東方書店様なら委託の扱いをしてもらえるんでは?と教えていただいて以来、上京の暁には必ずや!と思っていたのがようやく実現できたものです。

なかなかコミケには来られない方もいらっしゃるし、そういう方にも見てもらえる機会が作れるといいなぁという考えだったんですが、快く了承いただけまして、夢が叶った!と喜んでおりました。

が、東方書店様のfacebookとツイッターで紹介されるとものすごい勢いで拡散されまして、海のものとも山のものともつかぬ同人誌を置いていただける恩義に報いるためにも売れてくれねばなぁとは思っていましたが、東方書店様の発信力の強さに驚くばかりです。

同人誌としては実質1年半を要した三国志の日食本『献帝の見た日食』をようやく出すことができました。まったくもって何の役にも立たない本ですが、史書の「日食之」という無味乾燥な記述が実際にはどんなものだったのか?ご確認いただければ。

すでに夏に向けても新しいネタの資料読みを始めています。まだ本にできるネタかどうかの見極めもできていませんが、何とか形にしようと思ってます。
また、品切れになっている中国の古天文の本も手直しして出せればなぁと。

新年らしく夢ばかり語ってますが、ちょくちょくツイッターで進捗などつぶやいてますので、良かったらこちらも見てください。

(さんがつ)

立間祥介先生逝去

  • 2014/06/03(火) 22:13:55

表題の通り、立間先生が亡くなられたのだそうで、三国志ファンなら誰でも知っているといっても良い方でしょう。

私自身、青い鳥文庫の三国志に物足りなさを感じて次に手にしたのが平凡社から出ていた立間先生訳の三国志演義でした。
緑色の大きくて重い上下巻を図書館から抱えて帰ったものですが、リアル中二の私にとっては初めての分厚い小説であり、大人への入口でもありました。
ちょっとエッチぃ描写もありましたし。
学校から帰ればとにかく続きを読み、孔明すごいなーとか、曹操はなんで負けないんだ!とか一喜一憂していたものです。

そして気がつけば二十余年、いまだに三国志沼から抜け出せないでいます。

そういえば、三国志の原体験である人形劇三国志も立間先生の仕事でした。
三国志というものを全く知らず、ただ馬が走る人形劇としか認識していなかったようではありますが、私は最初から立間先生に手招きされていたようです。

中国茶の歴史についてまとめてみる

  • 2013/11/12(火) 22:18:51

以前に中国で買ってきた中国茶の本を読んでツイートしたことがあって、それなりにまとまっていたのですが、いつツイートしたものか分からずそのままになってました。
このたびtwitter公式で過去ツイートのダウンロードができるようになったようなので、掘り返してみたところ2012年の1月だったようです。
せっかくなのでここで抜き書き。本を読みながらのツイートなので断片的ですがご容赦を。

読む本は『中国古代茶文化研究』 第一章が茶樹起源なんだけど、白亜紀がどうとかジュラ期がどうとか文化と関係ないだろ。
※本は黄仲先氏の著、2010年に中国の科学出版社から出ています。
ググってみると神田の東方書店さんでも取り扱いがあるようです。

雲南において茶祖は神農ではなく諸葛亮。南征の際、桃花江を渡ろうとして将兵が瘴気にあたり、それを現地人が差し出してくれたお茶で治したのだとか。以来、茶樹を孔明樹といい、茶山を孔明山という。また孔明の誕生日である7月23日には茶祖会を行って祀る。

前漢の段階で蜀と湖南地方では茶の栽培が行われていた。なお、蜀の人は茶を葭萌という。

最初期のお茶は薬であり、司馬相如の薬品リストにも登場する。三国時代になると巴や荊の地では茶を摘んで米と一緒に餅にし、これを赤くなるまで炙り、搗き潰して器に入れ、お湯を入れてネギ生姜その他を加えて飲んだ。酔い醒ましになり、また徹夜に効いたらしい。これに似たのが打油茶として現存する。

(2011年の)三国志フェスで再現された擂茶は馬援が遠征した際に将兵が病にかかり、地元民から差し出された。馬援は「此何神物?」と尋ねたとか。地元民曰わく秦代から伝わるもので五味湯というらしい。材料は生麦生米生茶ほか5種。辞書が無いんで訳せない…

材料のもう一つは塩だ。あと一つはやっぱり訳せない。見たことあるのに…

打油茶は茶を油と塩で炒め、油が飛んだら水を加えてさらにゴマやトウモロコシなどを加えたもの。先の三国時代のものと似てる気があまりしないんだけど…

飲茶が初めて登場するのは張載の『登成都楼』という詩。西晋の人なのに本文には漢代とある。三国志ヲタ的には大事なとこなんで間違えんな。

茶を煮るという記述は前漢にある。晋代の『爾雅』にもあるんで晋代にも同様の飲み方というか食べ方をされていたらしい。三国時代の茶で餅を作る記述は『広雅』にある。

蜀の茶が荊楚に伝わったのは『春秋左氏伝』の昭公13年に記載された楚と巴の通婚の時だろうと。

華佗の『食論』にもお茶は体に良いとある。

長沙馬王堆漢墓から飲茶と見られる絵が見つかった。また、副葬品に茶があった。

『呉書』韋曜伝に酒席でお茶を出された記述。これは有名。

西晋の頃、武陵はお茶の一大産地になっていて、最も良いお茶がとれた。 これにて唐より前の話は終わり。唐以降はまた興味が湧けば拾い読みしてみよう。


中国茶って詳しい人がかなりいらっしゃるのになぜかあまり情報がまとまってないような気がします。
だれか本にまとめていただけないもんでしょうか?

(さんがつ)

三国志フェス参加しました

  • 2013/09/29(日) 09:29:03

楽史舎としては史上初の同人イベントではないイベント参加でした。
事前の連絡のタイミングや内容から推測するに同人サークルの参加は想定外っぽくて完全アウェイな空気を覚悟しつつの参加だったんですが、心配も杞憂に終わって同人誌とは縁の無さそうな方にも手にとっていただくことができました。
同人誌という概念を全く知らない方もいらっしゃって反応が新鮮でした。

今回、城郭本や城門本を買っていただけた方にはぜひ城を築いていただければ。星図を買っていただけた方には年末のアイソン彗星に向けて軍師ゴッコの準備をしていただければと思っております。

コミケよりもまったりしてましたので、いつもコミケに来てくださってる方々とも少し話ができたりと、得るものが多いイベントでした。
このようなイベントを開いてくださった関係者の皆さんに感謝です。

また、物理的にもいろんなものを得てしまいまして、差し入れとか更には昼ご飯とか、本当にありがとうございました!

三国志フェスが終われば次はいよいよ冬コミです。
当落はまだ分かりませんが、とにかく準備を加速させて面白いと思っていただけるような本を作ろうと思ってますので、完成の暁にはご覧ください。

(さんがつ)

夏は終わらない

  • 2013/08/27(火) 22:00:26

クソ暑かった夏コミも終わり、ようやく秋の空気が入ってきた今日この頃です。

いや本当に夏コミは暑かったですね。いつもだと昼過ぎにぶらぶらと歴史島を見て行かれる他ジャンルメインの方々がいらっしゃるのですが、今回ばかりはお目当てジャンルが片付いたら命の危険を感じる前に撤収という方が多かったように思います。
そんな中でも楽史舎のスペースに大勢の方にお立ち寄りいただきまして、本当にありがとうございました。

トピックスといえば長らく楽史舎の看板親父を務めてきた『訳本皇甫嵩朱儁列伝』が14年目にしてついに完売。この本がイベントで微妙に 本当に微妙に… 受けたからこそ楽史舎は続けてこられたわけですし、思い出を語れば切りが無いくらいくらい思い入れがある本ですので、無事に印刷分をすべて送り出せて感慨もひとしおです。
他にも予想に反して『二十八宿占』『科挙対策律令』も相次いで完売してしまいました。こちらは近々に再販しますので、欲しかったのに!という方は今しばらくお待ちいただければ。

夏コミが終わってあと4ヶ月もすれば冬コミです。
いつもなら次は冬コミでお会いしましょう、ということになるのですが、今年は「三国志フェス at 9/28(土) 横浜産貿ホール」に参加します。
もちろん同人誌の販売も行いますが、フェスのサブタイトルに「曹操 魏公就任1800年記念」とありますし、横浜中華街のそばでもありますので曹操が愛してやまなかった関羽にちなんで関帝廟で広く行われている関帝霊籤をやろうと思ってます。目下、必死に霊籤の資料を読み込んでますので、よろしければお立ち寄りください。

また、冬コミまでには関帝霊籤がらみで何か本を作ろうと思っています。サークルの説明文に「三国志にまつわる史料を…」とか書いておきながら久しぶりに真っ当な三国志の本になりますので、三国志フェスには行けないよという方もまた読んでいただければ。

(さんがつ)

中国の城を擬人化してみる

  • 2013/07/07(日) 21:50:13

このところ艦隊これくしょんという艦船の擬人化が流行してるのだそうで、流れに乗って中国の城の擬人化なんてのをTwitterでつぶやいておりました。

北京城はきっとフリフリドレスのお姉さんで南京城はガード固めの暗器使い。成都はファンネルみたいなのがぐるぐる回ってる感じ?

清代の北京城は当然ながら紫禁城があって周りは宮城・皇城・郭城が取り囲んでいる城です。その最大の特徴は従来の長方形の城郭の南側に「呂」の字を上から押しつぶしたような形で新たな城郭がつくられています。
北京城図
見ようによっては膨らんだスカートのようにも見えると思うんですが、いかがでしょう?
あくまでも万里の長城に守ってもらうことが前提なので、城そのものの防御力はそれほど高くない気がします。

一方、清代の南京城の特徴は圧倒的な防御力で、幅150mの濠の先に高さ20mの城壁がそびえ立っているというとんでもない城です。
それだけでなく城門にも秘密がありまして、城門の中に兵士が隠れていられる空間が用意されています。思いがけない所から武器が出てくる暗器使いにぴったりじゃないでしょうか?

三国・蜀の成都は宮城がある本体の城を3つの支城が取り囲んでいます。
本体の城を拡大せずに支城を築いた経緯はよく分かりませんが、本体の周りでぐるぐる回って敵の攻撃を無効化するような何かにも見えてきます。


南京になる前の建業/建康はふにゃーんとした掴み所の無い愛されキャラ。襄陽は誰かと仲良くするのが苦手ちゃんてとこ?

三国・呉の建業は後の南京とはうって変わって防御力が皆無の城です。なにしろ郭城というものが無く、ただ垣根で囲われただけのもので城の形がどんなものだったのかすら確たることは分かっていません。
ただ、川や山の地形を最大限に活かした作りになっており、また石頭城を初めとした広域の防衛線の支援はなかなか強力です。晋の攻勢であっさり陥落したように見えますが、防衛線の崩壊が無ければそこそこ持ちこたえられたんじゃないでしょうか?

襄陽は目の前の漢水を自然の濠にしていて濠の幅は平均して200m近くもあり、とにかく城まで近づくのが難しい城です。
そのくせ肥沃な荊州の要地ですので何度も攻撃に晒されており、擬人化するなら人見知りな感じじゃないでしょうか?
付け加えるなら襄陽の対岸には樊城があり、補完関係にありました。しかしあくまでも主役は襄陽であり、それを快く思わない樊城ちゃん、というキャラ付けも面白いかもしれません。
※現在の中国ではそのあたりの地域が襄樊市となっていたんですが、2010年に襄陽市に改名されました。樊城ちゃんの嫉妬はまだまだ続きそうです。



さらに思いついたところだと、唐の長安城は間違いなく男の子だと思います。
日本の平城京・平安京のモデルになった城なのでよくご存じの方が多いかと思いますが、実は城の中軸に位置する南玄関の明徳門の前の護城濠からあるものが見つかったのです。
それは唐の頃に据えられたとされる首をもたげた亀の像でした。

城の正面の土の中に亀。


……お後がよろしいようで。

(さんがつ)

夏コミ参加します

  • 2013/06/02(日) 21:35:41

気がつけば前の記事は冬コミの参加告知……

ろくすっぽ更新できていなくて申し訳ありませんが、新刊に向けての資料読みはずーっと続けています。
それが実ってか、夏コミに参加できることになりました!

楽史舎は8月11日(日曜日) 東ピ-55aで参加します。

今度こそ間違いなく中国の城郭本の続編を出しますので、お越しの際にはお立ち寄りください。
コミケまであと2ヶ月、キリキリとネジを巻いてがんばります。